【特別講演】
創薬イノベーションのリブート
エコシステムとムーンショットが拓く100歳時代の医療
岐阜薬科大学
創薬イノベーション共同研究講座
特任教授
嶋田 薫 氏
創薬を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。人工知能やデジタル技術の進化、産学連携、ベンチャー、スタートアップとの共創が不可欠となる中、エコシステム型のイノベーションが鍵を握ります。本講演では、「創薬イノベーションセミナー」の基調的な話題として、人生100歳時代に求められる医療像を見据え、日常の革新からムーンショット的発想まで、創薬の未来を再構築するための戦略と実践例をお話しします。
【低分子部門】
【1】核酸医薬品を真に実現するVISのQbDと革新的ドラッグデリバリーシステム
(株)Veritas In Silico
代表取締役社長
中村 慎吾 氏
mRNA標的低分子創薬を主事業とするVeritas In Silicoは、その技術を応用し、核酸医薬創薬にも取り組み始めた。三菱ガス化学株式会社とQbDの観点で取り組む自社プロジェクトの最新動向、および核酸医薬品の課題を根本的に解決する革新的ドラッグデリバリーシステム(DDS)をご紹介する。このDDSにより、腎臓の左右いずれかや肺の一部など、これまでは想定しえなかった精度でのデリバリーが可能となる。
【2】創薬におけるサーキュラーエコノミーの実現:多様な未充足医療ニーズへの挑戦
(株)ジェクスヴァル
加藤 珠蘭 氏
ジェクスヴァルはAIを活用した創薬プラットフォームRePhaIND®により、製薬企業に眠る新薬候補の価値を発掘し希少疾患治療薬開発に挑戦しています。リパーパシング創薬で患者さんとご家族に必要な医薬品を届けることにより「サーキュラーエコノミーの実践」を目指す本講演では、豪州第I相試験でターゲットエンゲージメントを確認し、効率的なグローバル開発モデルを実証したリード開発プログラムを事例にご紹介します。
【3】ラクオリア創薬グループの低分子創薬戦略と早期導出を基本としたバリューチェーン構築
ラクオリア創薬(株)
取締役
宇都 克裕 氏
ラクオリア創薬は低分子創薬を中核事業とし、ファイメクスをグループに迎えることによりTargeted Protein Degradation(TPD)にモダリティを拡張している。本講演では早期導出を重視した経営戦略のもと、オープンイノベーションを活用した創薬・開発バリューチェーンの構築について概説する。あわせて、低分子創薬とTPDの技術的・産業的課題と今後の展望を整理したい。
【タンパク質/ペプチド部門】
【1】モダリティ進化とエコシステム:ペプチド創薬で日本の創薬力をどう底上げするか
ペプチドリーム(株) チーフ・メディカル・オフィサー/
PDRファーマ(株) 代表取締役社長
村上 雅人 氏
本講演では、ペプチド創薬を軸に、放射性医薬品によるセラノスティクスを含むモダリティ進化とエコシステムの観点から、日本の創薬力強化の方向性を論じます。創薬ベンチャーと製薬企業、CDMOやアカデミアとの連携事例を交え、次世代モダリティの事業化を加速するための課題と解決策を提案します。
【2】AI-assisted Antibody Engineeringによる物理化学的特性の最適化と開発早期でのリスク管理の可能性
(株)レボルカ
浜松 典郎 氏
抗体医薬の開発におけるDevelopabilityの課題解決として、人工知能(AI)駆動型タンパク質エンジニアリング手法aiProtein®による効率的で複数の物理化学的特性の同時改変を紹介します。aiProtein®は、抗体の抗原結合性への影響を最小限に抑え、熱安定性、溶解度、収量などの物理化学的特性を向上します。医療用だけではなく、検査薬用途など様々なモノクローナル抗体に活用できるだけでなく、VHHやdiabodyなどのモーダリティーにも柔軟に対応します。
【3】次世代Neo-BiologicsによるBBB克服戦略
ミラバイオロジクス(株)
五十嵐 潤 氏
当社は、東京大学および大阪大学発のバイオベンチャーです。独自技術LassoGraft Technology™で、次世代多機能バイオ医薬品(Neo-Biologics)を創製し、難治性疾患の治療を目指しています。 本セッションでは、特に難易度の高い課題である脳への薬物送達への取り組みに焦点を当ててご紹介します。具体的には、治療薬の浸透を阻む血液脳関門(BBB)を克服するため、受容体を介したトランスサイトーシス(RMT)を活用し、革新的な中枢疾患治療薬を開発しています。
【抗体部門】
【1】mRNA/cDNA displayによる新しい抗体デザイン
― Animal-free 抗体作製法の新たな展開 ―
(株)Epsilon Molecular Engineering
根本 直人 氏
2023年「FDA近代化法2.0」の成立を受け、動物実験を段階的に削減・廃止するロードマップが米国食品医薬品局(FDA)から発表された。この流れを踏まえファージディスプレイの1万倍のスクリーニング効率のmRNA/cDNA display技術を用いIgG抗体の作製に必須なscFvライブラリの大量スクリーニングにより動物を用いずに試験管内で効率よく短期間でヒト化抗体を作出する取り組みを紹介する。
【2】メモリーB細胞由来抗体の特徴と可能性~疾病別未知の抗原発見と抗体データビジネス
(株)日本薬志
土井 尚人 氏
新たな創薬目標の探索では、ゲノム解析を中心にAI活用が進んでいます。弊社は免疫記憶細胞であるヒトメモリーB細胞由来抗体に着目し、疾病別比較を通じて新規創薬ターゲットやマーカー探索を行う事業を開始しました。 また、日米でPhⅡまで進み、ヒトでの有効性、安全性を示唆するデータを取得、ウイルス変異に広く対応できることを実証したヒトメモリーB細胞由来抗体の構造解析データをAI創薬向けデータとして提供します。
【再生医療/細胞治療部門】
【1】遺伝子治療の効率化への挑戦:遺伝子導入T細胞療法の基盤技術および組織指向性AAV
タカラバイオ(株)
渉外開発本部 CDMセンター第3部
副本部長 兼 部長
岡本 幸子 氏
我々は、遺伝子治療の安全性・有効性向上に向けた様々な課題に取り組んでいる。本演題では、CAR-TやTCR-T細胞療法における安全性・有効性を高めるための基盤技術、Spo-T®法(短期間製造法)による細胞機能の改善、および細胞製造工程の簡略化の取り組みを紹介する。さらに、独自に開発したAAVベクターである、脳指向性CereAAV®および内耳指向性SonuAAV®の特性と応用についても紹介する。
【2】iPS細胞技術を活用したiPS創薬と再生医療
(株)ケイファーマ
福島 弘明 氏
iPS細胞技術によって、iPS創薬と再生医療への応用が進んでいる。我々は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象とするiPS創薬を展開し、有効な治療薬候補を見出した。既にALS患者対象のPh1/2試験を完了し、安全性、忍容性、有効性を確認し、現在Ph3試験の準備を進めている。また、亜急性期脊髄損傷を対象とする再生医療の臨床研究Ph1/2では、安全性、有効性が確認され、治験準備を進めている。今回、これまでの経緯と今後の展望についてお話ししたい。
【3】再生医療が拓く未来 ~細胞シート工学で新たな治療の選択肢を~
(株)セルシード
橋本 せつ子 氏
株式会社セルシードは細胞シート工学を事業化するために2001年に設立されました。大学との共同研究により、眼科、消化器内科など様々な臨床応用を開発してきました。現在、東海大学佐藤正人教授の研究成果を受けて、変形性膝関節症の根本治療を目指す同種軟骨細胞シートの第3相試験を実施しています。 セルシードは日本発の細胞シート工学による再生医療を世界の患者さんにお届けすることを目指しています。
【遺伝子/核酸部門】
【1】PureCap:超高純度mRNAキャップアナログが拓くmRNA医薬品の新時代
Crafton Biotechnology(株)
代表取締役 CEO
渡辺 勇人 氏
mRNAワクチンの投与部位の炎症や発熱などの副反応は、不純物として含有する二本鎖RNAや未キャップRNAに起因する。当社は、上記不純物を除去可能なPureCap®により製造した超高純度mRNAワクチンの医薬応用を推進中である。現在AMED SCARDA支援のもと、LNPが不要な投与デバイスとPureCap®-mRNAワクチンの臨床試験を進め、副反応低減を証明し、mRNA医薬の適応疾患拡大を目指しています。
【2】次世代mRNA創薬の潮流
NANO MRNA (株)
秋永 士朗 氏
mRNAは感染症ワクチンの創薬モダリティとして既に確立されており、現在はがんや遺伝子欠損を伴う希少疾患領域において後期臨床試験が進行している。mRNA創薬の現在の潮流は二つに大分される。第一はmRNA分子自体の最適化やLNPなどドラッグデリバリーシステム(DDS)の改良といった技術的進展、第二はmRNA抗体、in vivo CAR-T細胞療法、ゲノム編集治療などmRNAの特性を最大限に活かした新規適応領域の創薬モダリティへの展開である。本講演では、これら次世代mRNA創薬の最新動向について概説する。
【3】mRNA創薬と製造をつなぐ:ARCALISの統合型開発アプローチ
(株)ARCALIS
事業開発本部
牟田園 正敏 氏
mRNA医薬品の開発では、研究段階での迅速な検証と、GMP製造に耐える堅牢なプロセス設計を両立させることが大きな課題です。本講演では、スクリーニングに最適な「少量多品種サービス」や薬理・毒性評価に対応した「in vitro/vivo評価試験」、GMP製造に向けた「プロセス開発」など、ARCALISが提供する創薬研究から商用製造までを一気通貫で支援する統合プラットフォームの全体像を紹介します。
【パネルディスカッション】
創薬イノベーションの最前線:日本の課題と未来へのアプローチ
<パネリスト>
アイパークインスティチュート(株) 代表取締役社長
藤本 利夫 氏
新生キャピタルパートナーズ(株) パートナー
藤波 亮 氏
ルクサナバイオテク(株) 代表取締役社長
佐藤 秀昭 氏
日本製薬工業協会 産業政策委員会 イノベーション推進部会 部会長
寺尾 寧子 氏
<モデレーター>
岐阜薬科大学 創薬イノベーション共同研究講座 特任教授
本セッションでは、創薬ベンチャー、アカデミア、VC、関連団体等からキーパーソンをお招きして、我が国の創薬力を強化するための課題を中心にディスカッションを行います。 次世代創薬に向けたアプローチ、創薬エコシステムの構築やドラッグラグ・ロスの問題など製薬・医療業界で話題のテーマを取り上げて実施する予定です。
ニトロソアミン類の一斉分析法と薬物関連不純物(NDSRIs)の最新分析事例
(株)エービー・サイエックス
アプリケーションサポート部
スペシャリスト
遠田 敏史 氏
近年、医薬品中のニトロソアミン類および薬物関連不純物(NDSRIs: Nitrosamine Drug Substance Related Impurities)は、発がん性リスクの観点から国際的に注目され、厳格な管理が求められています。本発表では、LC-MS/MSを用いたニトロソアミン類9種を対象とした分析法開発におけるポイントを紹介させていただきます。さらに、NDSRIsの分析事例も併せて紹介します。
アカデミアシーズ実用化による創薬力強化
~データマネジメントの観点から~
(株)三菱総合研究所/MEDISO事務局
創薬・健康エコシステム本部 医薬・医療イノベーショングループ
主任研究員
永野 克将 氏
研究員
末松 佑麿 氏
本講演では、アカデミア創薬シーズの実用化を加速するうえで重要となる「データマネジメント」の考え方を整理する。これまで実施してきた信頼性あるアカデミアデータの収集・評価に関する取り組みを紹介し、早期段階からのTPPの活用が、創薬スタートアップだけでなくアカデミア研究にも有用であることを示す。
RNA編集核酸を基盤とした次世代核酸医薬の開発
福岡大学
理学部化学科
准教授
福田 将虎 氏
RNA編集核酸(REO)を用いたADAR依存的A-to-I編集技術の概要と、現在進められている遺伝性疾患に対するRNA編集核酸医薬の開発状況について紹介します。また、RNA編集を基盤とした新たな治療コンセプトの可能性や創薬応用に向けた展望を示し、今後の技術発展に向けた方向性について考察します。
AI創薬プラットフォームの構築に向けた医薬基盤・健康・栄養研究所の取組
(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
戦略研究支援部
部長
藤井 哲朗 氏
医薬基盤・健康・栄養研究所では、生成AIを活用した創薬プラットフォーム事業に着手し、医療現場の負担軽減を図りつつ、個別化・最適化医療を実現する仕組みの構築を進めている。具体的には患者同意取得や医療行為説明のための会話型システムの開発、臨床情報をリアルタイムに収集する医療情報データベースの構築、創薬の新たな方策としてAIによる患者層別化、薬物の有効性・副作用予測等を目指しており、その取組を紹介する。
ゲノム医療の実現に向けた現状の研究成果と今後の展望
理化学研究所
生命医科学研究センター
副センター長
桃沢 幸秀 氏
一人一人のゲノム情報に合わせた医療を提供するゲノム医療は、2006年頃から利用されるようになった次世代シークエンサーにより、この20年間で大きく発展してきた。その対象も、遺伝性疾患に留まらず、がん、多因子疾患、感染症など幅広い。本発表では、発表者の研究室で大規模に実施してきたがん研究を中心に、現在のゲノム医療の現状と今後の展望などについて発表する。